BOX 〜前向きな挑戦

向き不向きよりも前向き!!

Over

真夏の日差しの下で走ってる

君を遠目から見ていた

どこか憧れていて

誰かの背中を追うことを

当たり前と思っていたんだ

後ろに誰かが

バランスを崩しそうな僕に

君がそっと手をのべて

引っ張るんだその先へ前へ

走り出せ今向こう側

君をのせて思い描く

地平線の向こう側へ

今君に伝えたい

この声で僕の声で

今の僕はまだ

 

いつしか誰もが歳をとり

全てが灰になるならば

せめて誰かの記憶の中で

誰かに想いを託しては繰り返して僕らは

消えてゆくんだ

いつからか君が僕を超えて

見えなくなってしまいそうで

今なら君に託せるのかな

走り出せ今向こう側

君をのせて思い描く

地平線の向こう側へ

今すぐ逢いにゆき

この声で僕の声で

今の君はまだ


いつしかのライバル心はそっと愛しさに変わっていくから

今度は君の背中を押すから

 

走り出せ今向こう側

君をのせて思い描く

地平線の向こう側へ

今、今、向こう側

走って超えてゆくよ

今の僕はまだ君が好きだ


Over - YouTube

サラリーマンボクサー -2 〜居場所〜

お昼を1人で食べることになったのが功を奏したのか、思いの外、別に強がっているわけではないが、充実した。

残りの時間は自分の調べたいことや、勉強にあてたり、ボクシングの動画を観てスパーリングの参考にしたりと、前へ前へと、ほんの少しでもいい、先に進んでいる感覚。欲しかったものが感じられたからだ。

同期とはあまり話さなくなった。

しかし、それが会社の全てではない。

当時、僕が出向していた会社では、約6人1グループ(このグループは通称、島と呼ばれている)で仕事をしていた。

基本的に仕事中はその島の人とメインにコミュニケーションをしながら仕事をすすめる。

つまり、同期とはお昼だけの関係だったので、仕事には何も影響はなかった。

むしろ、仕事を集中して行っていたらその島の人と自然と仲良くなっていき、働きやすくなっていった。

そんな僕の仕事は主に、事業主に架電を行い、書類などの不備の訂正願いや、催促などをすることだった。

クレームになりそうな案件は男にまわってくる風習があったので、僕も例外ではなく、クレームや、あたりの強い事業主のおっちゃんとバトルを広げることもあった。

そんなこんなで、出向して数ヶ月経つと、最初は同期と和気あいあいやっていた人も、次第に士気が落ち、愚痴が頻繁に飛び交うようになっていった。

 

「辞めたい」、「やりたくない」、「給料低すぎる」

 

後ろ向きな言葉が飛び交ったり、ある日突然いなくなる人もいた。

僕だって嫌だった。ただ、嫌なのはこの会社にきた当初からずっとだ。抜け出すために転職を進めていた。

しかしなかなか決まらない。

僕も転職に苦戦をしていた。

それでも僕はメンタルを安定して仕事を続けられた。なぜなら割り切れていたから。

 

こう思っていた。

ボクシングをやるために仕事をしている。

 

そう。毎日仕事が終わったらジムに行ってがむしゃらに練習していた。

ただプロになりたい。そう思いながら日々を過ごしていた。

ジムでは愚痴を言う人はいない。みんな前を向いている。ただ真剣に、ひたすらに、拳を撃つ。

スパーリングをしている時の目は皆んな怖い。

怖いけど立ち向かう。

息が切れて酸欠になるまでラウンドをこなし、闘って、終わったら、

「ありがとうございました」

と、お互いを心から讃えあい、お互いの良いところや改善点を話し合う。

これがスポーツマンシップか。

今まで、学生時代は野球とテニスをやっていたが、格闘技をやってからそれが顕著に感じられた。

互いに切磋琢磨する。

日々前に進んでいる。

日々強くなっている。

そして同じ目標に向かう仲間がいる。

僕にはボクシングがある。

だから、いくら傷つくようなクレームを会社で言われても、嫌な上司にキツくあたられても。転職の面接がうまくいかなくても。

僕は頑張れた。

 

「依存」

 

これは良くも悪くもその人を蝕むと思う。

1つのコミュニティに依存していたら、そこで起こったことが自分の全てのように感じる。

その場所でうまくやらなきゃ。みんなと仲良くならなきゃ。頑張らなきゃ。

僕はそんなことないと思う。

無理して頑張らなくてもいい。悪口を言われてもいい。みんなと無理して取り繕ってまで仲良くやらなくてもいい。

だってそれは世の中にたくさんあるうちのたった1つのコミュニティにすぎない。

自分に合った居場所はあると思う。

僕はそれがたまたまボクシングだった。

そして、その居場所は仕事にもいい影響があった。

決して多くはないが、職場の人で僕を応援してくれる人達がいた。

嫌味を言われても、闘ったら絶対に負けないと思うだけで、簡単に受け流すこともできるようになった。

居場所はたくさんある。

今の仕事がすごくやりがいあって楽しい。

そんな人がいたら素直におめでとう!

でも世の中そうじゃない人達もたくさんいる。

僕はあの出向先で嘆いている従業員をたくさん見てきた。

きっとそれは、他でも例外ではないはず。

だからぜひ探してみてほしい。

自分が夢中になれるほど好きな。

そんな居場所を。

 

サラリーマンボクサー -1 〜ひねくれもの〜

当時僕は某旅行会社に勤務していた。

大学を卒業し、新卒で入社した会社だ。

 

入社1年目、どんなサラリーマン生活がまっているのだろうか。

そんなことを考えていた時だった。

 

『休業します』

 

メールでいきなり連絡がきた。

 

コロナ禍になり一度も出社することなく仕事がなくなった。

 

働くのか働かないのかどっちつかずな会社の対応に振り回される。

そんな時期が1年ほどあった。(この時のことはまた別の記事で書けたらなと思う)

直会社には言いたいことが山ほどある1年だったし、人事の人とも言い合いをした。

一度も働いてないが会社への忠誠心など1ミリもなかった。

 

そんなある日会社から連絡がきた。

 

〇〇社に出向してください。

 

そこから僕のサラリーマン生活は始まった。

実に1年越しの初勤務。

 

正直、こんな会社やめてやろうと思い転職活動していた最中だったが、思うようにいかないところもあり、一旦出向先に行くことにした。

 

会社は若干遠方ということもあり、引越しをすることに。

当時、ボクシングをやっていたので、どうせならボクシングジムに近いところに、そして好きなボクサーがいるところにしたい。

そう思って迷わずボクシングジムの近場に部屋を借りた。

 

部屋も決まり。色々サラリーマンとしての新生活、だが僕はボクシングをやることに胸が躍っていた。

プロになりたい。

その一心だった。

 

出勤初日、僕は驚いた。

 

そこには同じ時期に入社した同期がほぼ全員と、その他はほぼ全員が高年齢層の派遣社員で埋め尽くされていた。

 

僕はすぐに悟った。

個人的な偏見が入っているかもしれないが、こんなところにはいてはいけない。

直感でそう思った。

しかし、周り同期達は僕と同じような危機感を感じているそぶりはなかった。

同期と楽しく和気あいあいと過ごしている。

決してそれが悪いことではないことは分かっているし、むしろ同期と仲良くやるのは協調性があり良いことのように思える。

ただ、僕にはそれが、なんというか、大学の延長線上の光景に見えた。

こんなところで貴重な20代を終わらせたくない。

ひねくれてるかもしれないが、素直にそう思った。

そんなこんなで出勤初日で、転職活動再開しますフラグが立った。

気持ちとしては安心なんて感じず、むしろ危機感しか感じない。早くここを抜け出さないと沈んで抜け出せなくなる。そんな底なし沼にいるように感じていた。

 

しかし、そんなひねくれものの僕にも話しかけてくれる同期はいた。

数少ない男の同期達だった。

(僕がいた旅行会社は女性社員の人口が多く、男性社員のほうがむしろ少ないぐらいだったので男子は固まっていた。それか女子多数の中に男子が数人入ったグループがあったりした。)

 

なんと、こんなひねくれたことを考えている僕に声をかけてくれて、昼休みに一緒にご飯を食べようと誘ってくれたのだ。

 

それから数週間ほど一緒にお昼を共にしていたが、ある日、僕は一緒に食べるのをやめた。

 

理由は、話していて、会社の愚痴は聞くけど、前向きに行動しているように思えなかったから。

自分の悪い癖なのかもしれないが、居たくない会社に文句をいいながら居続けるより、先に向かって行動すれば。

と、思ってしまうから。

僕はお昼の時間をこんな何の生産性もない愚痴会に費やしたくない。

今こうやって書いていても僕のことを嫌なやつだろうなと思う人はいるかもしれないと感じる。

しかし、僕はもがきながらでも前に進んでいるという感覚が欲しかった。

ただ今の環境で耐えていたら明るい未来がくるなんて思えなかった。

未来は自分で作って手に入れる。だから、お昼の貴重な時間は自分に充てたい。

そう思ったからこそ、お昼は1人で食べるようになった。

 

プロボクサーの夢 - 4 〜誰のため?〜

Kさんと話した後、すぐにTさんにメッセージを送った

 

『昨日はすみませんでした。やっぱりプロテストを受けます。もう迷いはありません。いつもそばで指導し下さったのに昨日はブレてしまい本当にすみませんでした。今後もTさんと一緒に頑張りたいです。』

 

内容はこんな感じだったと思う。

 

送信したらすぐに練習を再開

迷いなくサンドバッグを叩き、Kさんにミットを持ってもらいミット打ちをしていた時だった。

 

入り口で手を上げてこちらを見てくる男性が1人いた

 

Tさんだった。

 

Kさんはミット打ちをやめて、行っていいよ、というジェスチャーをしてくれた。

僕はTさんのもとえ向かう。

 

「Tさん、すみませんでした。Kさんと話して自分、決意が固まりました。もうぶれません」

 

Tさんは口を開いた

 

「ここに来るまでの間これを書いていた」

 

そういいながらTさんはスマホを見せてきた。

 

画面には送信する前の文章が記載されていた。

 

『プロになりたいとジムに来た時から言っていて、そのつもりで見てきたのに、Oにちょっと言われたぐらいで気持ち変わるなんてガッカリ。』

 

内容はこのような感じで、実際はこれ以外にも色々と書かれていてかなり長かったのを覚えている。

 

昨日送ろうと思えば送れたはずなのに、送信しなかったということは、それだけ真剣に考えていてくれていたんだな。

素直にそう思ったのと同時に、申し訳ない気持ちと、ありがとうと、感謝の気持ちが溢れてきた。

 

「これを書いてる間に連絡がきてよかった。ここのジムにはああ言うやつらもいるが気にするな。」

Tさんは続けて

「お前誰のためにボクシングやってるんだ?自分のためだろ?オレが受けていいって言ってんだからいいんだよ。」

 

Tさんと話をしてまた頑張ろうという気持ちになった。

士気は今までにないぐらい上がった。

なぜなら、この件があって気づいた。どれだけ周りの人に支えられて自分はボクシングをできていたのかということに。

Tさんに見てもらえて幸せだなと思ったし、Tさんのことを悪く言う人たちを見返したいと思った。

 

ボクシングをやるのは、自分のためでもあるが、自分だけじゃない。

一見矛盾しているような発言だか、僕がボクシングをやるのは、自分の夢のためでもあるが、応援してくれる人たちに報いたい。

 

そんなボクサーになる。

 

漫画とかで主人公が仲間がやられたときに強くなる。

その時の気持ちがわかるような気がした。

 

プロボクサーの夢 - 3 〜「自分がやりたいんですよね?」〜

トレーナーにメッセージで辞退の連絡をした。

 

『Oトレーナーに事務所に呼ばれてプロテストを受けるのは早いと言われました。話を聞いていて確かにな、と思ってしまった自分がいたので今回は辞退しようと思います。』

 

内容はたぶんこんな感じだったと思う。

 

その日は担当のTトレーナーからは返信は来なかった。

 

日が明けたが、翌日になってもTトレーナーからの連絡は来ない。

 

僕はいつも通り仕事を終えたらジムへ向かう。

 

その日はいつもならTトレーナーが来る日だったが、ジムにその姿はなかった。

 

いつもいるはずのTさんがいない。

自分の中でOトレーナーに促されて判断したことについての迷いが大きくなっていく。

やっぱり本質的には納得してないのだろう。

自分のことを見ていてくれた人に対して辞退をするという弱気なことを述べてしまい後悔が膨らみ、顔は青ざめ、練習に集中できなかった。

 

そんな時1人のトレーナーが目に入った。

 

その人の名前はKさん。

元暫定チャンピオンで週に2回ほどジムで指導しにきてくれる若いトレーナーだ。

 

思えばこのジムに入会した時から面倒を見てもらってたし、考え方や接し方が好きで、本当に信頼していた。

 

「すみません、ちょっとお話いいですか?」

 

Kさんならどう考えるだろうか。

どうするべきか。

自信はないが、自分の中でもがいているからこそ、信頼してる人の声が聞きたかった。

 

Kさんに昨日あったことを話した。

 

それを聞き、Kさんは迷いなく言った。

 

「自分はどうしたいんですか?」

 

ものすごいストレートな返答、且つ、確信をつくような質問に感じた。

なぜなら、自分はKさんに受ける受けないの判断をしてもらい、自分の決断を正当化して納得したかったのかもしれないからである。

 

自分の気持ちは?

ずっとOトレーナーに言われたことに納得ができなかったのは、自分の中では答えがでてるから?

 

「プロテスト受けたいです。しかし、Oトレーナーに言われて、100%受かる自信がなく、何も言えませんでした。どうしたらいいのかわかりません」

 

正直な気持ちを伝えた。

その自分の発言に対してKさんは話す

 

「そんな気持ちじゃ、プロテスト受けるためにサポートしてくれてるTさんだって何も言えませんよ。」

Kさんは続ける

「いくらTさんが許可だしても自分が受けないっていわれたら、反対してくる人に押されて受けさせられないですよ。担当のトレーナーは誰ですか?Tさんですよね?そしたら担当のトレーナーが許可出してるんだからいいんですよ。なのに担当じゃないトレーナーに少し言われてすぐに意見を変えるようではTさんも受けさせようがないです。」

 

Kさんの言葉はものすごい勢いで僕の胸に突き刺さった。

今まで1番近くで見てくれているTトレーナー。

自分はその人の気持ちをそこまで考えてなかった。

ただその場で詰められて、自信がないのを言い訳に、周りからの圧力が怖いから逃げていた。

そう思った。

 

「自分がやりたいんですよね?」

 

Kさんが再度問いかける。

 

「はい」

 

僕は頷いた

 

「なら受ければいいと思います。確かに受ける判断をしたら、白い目で見られることもあるかもしれませんよ。でも自分がやりたいんですよね?なら受ければいいんです。自分もチャンピオンになるって練習していたときは、周りから、『無理だ』とか非難する声を散々言われてきました。結局、チャンピオンになれませんでしたが、自分は一切後悔してないです。プロテスト受かるかどうかは分かりませんよ。でもいいんです。落ちてもそれが経験になるんです。次に活かせるんです。」

 

Kさんの言葉を聴いて自然と涙が出た。

 

「ありがとうございます。プロテスト受けます。Tさんにもそう伝えます」

 

もう僕の目に一切の迷いはなかった。

 

 

 

プロボクサーの夢 - 2 〜対立〜

他のトレーナーから呼び出されて事務所につれていかれた。

 

「お前、今の状態でプロテスト受かると思ってるわけ?」

 

詰めるように問いかけられた。

 

「わかりません」

 

出た答えはこの一言

正直な答えだったし、それ以上でもそれ以下でもない、

本当に分からなかったからそう答えた。

その時は何をやっても上手くいかない時期でスパーリングでも手応えがあるものが少なかった。

優先なスパーリングをしても、自分としては納得のいく内容でなかったり、試行錯誤しながらもがいている時期だった。

自分としては全力で準備しテストに挑む、それだけだ。

そう思って毎日必死に練習していた。

 

だから、受かる受からないなんてやってみないとわからない。

そのような思いが質問に対してでたのだと思う。

 

「今のお前の実力じゃ受からねーよ、そんなプロテスト甘くねーから。OOだって落ちてるんだぞ、あと1年ぐらい必要だは」

 

そのトレーナーはいつもは人をいじって笑いを誘ったり冗談を言うような人だったが、この時のトーンは本気のように感じた。

 

「…」

僕は黙り込んだ

 

「今からでも遅くねー、担当のトレーナーに辞退すると連絡しろ、自分の身の丈をわきまえないで誰でもプロテスト受けてるとウチの看板を汚すことになんだよ」

 

僕は何も言い返せなかった

なぜなら実力がないのをわかっていたから。

 

「わかりました」

 

そう言ってやり取りは終わり、すぐに担当のトレーナーに辞退の連絡をした。

 

プロボクサーの夢 - 1

僕は以前、ボクシングをやっていた。

 

エクササイズとかではなく本気でプロボクサーになろうと思ってやっていた。

 

だがそう上手くいかないこともある。

 

仕事の関係でボクシングから一定期間離れることになった。

 

その前にプロテストを受けてプロボクサーになりたい。

 

トレーナーに相談した。仕事のことは伏せて、今のレベルどこまでやれるのか、それを踏まえてプロテストを受けたいと話した。

 

トレーナーの答えは、「受けろ」

だった。

 

嬉しかった。

それに向かって頑張っていた。

ただがむしゃらにサンドバッグを叩いて、トレーナーのミットを打つ

 

スパーリングの回数も増えていき、徐々に相手のパンチへの恐怖心にも慣れていき、試合慣れもしてきた。

 

そんな時だった。

 

「お前プロテスト受けるのはえーよ」

 

他のトレーナーからそう言われて呼び出された。