Kさんと話した後、すぐにTさんにメッセージを送った
『昨日はすみませんでした。やっぱりプロテストを受けます。もう迷いはありません。いつもそばで指導し下さったのに昨日はブレてしまい本当にすみませんでした。今後もTさんと一緒に頑張りたいです。』
内容はこんな感じだったと思う。
送信したらすぐに練習を再開
迷いなくサンドバッグを叩き、Kさんにミットを持ってもらいミット打ちをしていた時だった。
入り口で手を上げてこちらを見てくる男性が1人いた
Tさんだった。
Kさんはミット打ちをやめて、行っていいよ、というジェスチャーをしてくれた。
僕はTさんのもとえ向かう。
「Tさん、すみませんでした。Kさんと話して自分、決意が固まりました。もうぶれません」
Tさんは口を開いた
「ここに来るまでの間これを書いていた」
そういいながらTさんはスマホを見せてきた。
画面には送信する前の文章が記載されていた。
『プロになりたいとジムに来た時から言っていて、そのつもりで見てきたのに、Oにちょっと言われたぐらいで気持ち変わるなんてガッカリ。』
内容はこのような感じで、実際はこれ以外にも色々と書かれていてかなり長かったのを覚えている。
昨日送ろうと思えば送れたはずなのに、送信しなかったということは、それだけ真剣に考えていてくれていたんだな。
素直にそう思ったのと同時に、申し訳ない気持ちと、ありがとうと、感謝の気持ちが溢れてきた。
「これを書いてる間に連絡がきてよかった。ここのジムにはああ言うやつらもいるが気にするな。」
Tさんは続けて
「お前誰のためにボクシングやってるんだ?自分のためだろ?オレが受けていいって言ってんだからいいんだよ。」
Tさんと話をしてまた頑張ろうという気持ちになった。
士気は今までにないぐらい上がった。
なぜなら、この件があって気づいた。どれだけ周りの人に支えられて自分はボクシングをできていたのかということに。
Tさんに見てもらえて幸せだなと思ったし、Tさんのことを悪く言う人たちを見返したいと思った。
ボクシングをやるのは、自分のためでもあるが、自分だけじゃない。
一見矛盾しているような発言だか、僕がボクシングをやるのは、自分の夢のためでもあるが、応援してくれる人たちに報いたい。
そんなボクサーになる。
漫画とかで主人公が仲間がやられたときに強くなる。
その時の気持ちがわかるような気がした。