「どうしたー?」
僕をこたつに招いて、お菓子を運んで、おばあちゃんは僕にそう言ってきた。
「仕事、辞めることになったんだよ」
、
、
「そうか、次はどうするの?」
意外だった。
なぜなら僕は説教されると思っていたからだ。
根性無しが
そんな言葉をかけられるのを覚悟していた。
「まだ決まってない」
この時僕は、都会で最大限稼げて、自分のスキルを活かせるところで仕事をしなくてはいけないような、一種の義務感を感じていた。
しかし、本心は違っていた。
居心地のいい場所、この故郷で暮らしたい。
田舎で何もないけど安心する、落ち着く、この場所で暮らしたい。
一度都会で暮らしてみて分かった。
僕は故郷に住みたいんだと。
この先どうなるかは分からない。
もしかしたら故郷ではない場所で暮らす可能性もある。
だが気づいた。
僕は生まれ育ったこの街で暮らしたい。
自分は何をしたいのか、何が幸せなのか、
分からなかった事が、少しだけ分かった。